おはようございます、Jayです。
菅首相がトランプ大統領とメラニア夫人を見舞う“ツイート”を英語(&日本語)でしました。
“共同通信”によりますと“7日の自民党外交部会で「英文のレベルが低すぎる」と苦言が相次いだ”との事。
私はYahoo!ニュースでこれを初めて知ったのですが、ニュースの見出しを読んだ時に“どんな英語を言ってしまったんだ!?”と心配しました。
菅首相の英語ツイート:
Dear President Trump,
I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19. I sincerely pray for your early recovery and hope that you and Madam First Lady will return to normal life soon.
皆さんはどうお感じになりましたか?
先ほどの共同通信の報道によりますと、“「心配した」とする英文が「I was worried」と過去形になっており、出席議員は「今は心配していない、という意味に受け取られる」と指摘した”との事。
菅首相は就任されたばかりなので好きでも嫌いでもなく(むしろ前首相時のうやむやになっている事の方がまだ気になる)、あくまで“日本の首相の英語ツイート”として(英語ネイティブの)私の意見を言わせていただきます。
“I was worried”は別におかしくないし、ネイティブに充分意図が伝わる心のこもった英文です。
逆にこの英文を指摘した方に“ではあなただったら英文で何とツイートされますか?”と聞きたいぐらいです。
確かに言い回しは非常にシンプルで、もし私のアメリカ人の友達が新型コロナウィルスに感染してもこのようなメッセージは送りません。
菅首相とトランプ大統領も“友達”同士かもしれませんが、彼らは一国の主であり公人です。
その公人同士が公の場でやりとりするメッセージが私が友達に送るような砕けた表現ならそれこそ国民から批判が起きるでしょう。
実際になぜ“I was worried”でもおかしくないか解説する前に菅首相の日本語ツイートをご覧ください。
日本語ツイート:
親愛なるトランプ大統領へ、
貴大統領とメラニア夫人がコロナに感染したとのツイートを見て心配しましたが、お二人が速やかにコロナを克服し、日常を取り戻すことを祈っています。
いかがでしょうか。
日本語でも「心配しました」と過去形になっていますが、この日本語は変ですか?
この日本語ツイートは“今は心配していない”感が出ていますか?
むしろ「コロナに感染したツイートを見て心配します」と現在形にする方がおかしいと思います。(「心配しています」の現在進行形ならわかる)
お待たせしました、それでは解説です。
「“I was worried”と過去形になっているのは『時制を合わせているから』です」
時制とは“現在形”や“過去進行形”など物事の過去・現在・未来を表すために動詞をを変えるあれです。(例:“study”→“studied”)
“未来の事を話しているのに過去形を使う”など、時制がバラバラだと読み手は混乱します。
例えば“I ate pizza tomorrow.”という文。
日本語にすると「私は明日ピザを食べた。」
“tomorrow”と未来の事を言っているのに“ate”(食べた)と過去の事を言っているので時制が合っていません。
“tomorrow”(未来)に合わせるなら“I will eat pizza tomorrow.”(私は明日ピザを食べる)で、“ate”(過去)に合わせるなら“I ate pizza last week.”(私は先週ピザを食べた)です。
このように文章に出てくる時制が合わせる必要があります。
“I was worried about you”だけを読むと、「私はあなた/あなた達の事を心配した」となります。
これだけでは“何について心配したのか”がわからないので、“when 〇〇”(〇〇の時に)の文章でそれが説明されています。
“when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19”
「大統領とメラニア夫人が新型コロナウィルスに感染したというあなたのツイートを見た(読んだ)時に」
“read”のややこしい部分は現在形も過去形も同じつづりという事。
でも発音は現在形が「リードゥ」で過去形が「レッドゥ」と違います。
今回は「ツイートを見た」と過去なので“read”は「レッドゥ」読みの方です。
つまり“read”が過去形なので“I was worried”も過去形にして時制を合わせているのでおかしくありません。
もし“I am worried”とするなら、“I have heard the news and I am worried about you”(ニュースを聞いて心配しています)ですかね。
この時期に心配しているのであえて新型コロナウィルスを出さなくても“the news”でその事とわかるでしょう。
ちょっとここで脱線です。
皆さんは“I was worried about you”と“I worried about you”の違いはわかりますか?
どちらも意味合いは同じです。
“I was worried”の“worried”は形容詞で、“I worried”の“worried”は動詞の過去形です。
“えっ、‘I was worried’の‘worried’は動詞じゃないの!?”
今回のは形容詞ですが、動詞としても使う時はあります。
そういう時は“was worried”と受動態(be動詞+過去分詞形)なので「心配された」です。
例えば“I was worried by Prime Minster Suga”(私は菅首相から心配された)
話を戻します。
“中学生が勉強するような英語”と言う人もいるかもしれませんが、そもそもなぜ学校で英語を教えているのですか?
このように英語でやり取りをするためではないでしょうか。
それなら首相は習った英語を実践しているだけだと思います。
確かに日本の英語教育は“多くの時間を割いているのに喋られる人が圧倒的に少ない”と、英語教育の内容自体に疑問を抱く部分はあります。
むしろ受験の英語などを見てたまに“えっ、日本の学生を将来アメリカやイギリスで学者や政治家にさせたいの?”と思われる“日常生活では一生使わなさそうな単語”が出ているのに驚きます。
学校で“テストが終われば忘れるような難解な単語”や“ネイティブで違いを説明するのが難しい表現”などを教えるよりも“基本的な部分の英会話”で良いと思います。
そしてその人がその先の学者や弁護士などを目指す時に初めて専門性の高い単語などを学んでも遅くはないのではないでしょうか。
日本人は“成功するようにやる”というよりも“失敗しない(恥をかかない)ようにやる”という意識が強く働いて、英語を喋るなど何か挑戦するのに委縮しているように感じます。
誰かの重箱の隅をつつくような事はせずに、誰かの勇気や成功を称賛出来るようになりましょうよ。
しいて菅首相の英語ツイートの重箱の隅をつつくなら“長い”ですかね。
そう、この記事のように。(笑)
長くなりましたが、お付き合いありがとうございました!
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Have a wonderful morning
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