日本語字幕では表せない英語や文化:「ホーム・アローン」(後編)

おはようございます、Jayです。



映画「ホームアローン」の日本語字幕では表せない英語や文化をご紹介している記事の後編です。

前編”は最初からケビンが食料品などの買い物をするシーン(53分ぐらい)まででした。

では続きを見てみましょう。



窃盗犯達(ハリー&マーヴ)が車の中からケヴィンの家を張り込んでいたシーン(55分辺り):

前夜は家でパーティー行われている様子で賑やかだったのに翌日は誰もいないかのような静けさに不信に思い、ハリー(金歯/年上)がマーヴ(年下)に“Go check it out.”(様子を見てこい)と命令しました。

しかしマーヴは特に動かず、少しするとハリーに“Now?”(えっ、今?)と聞きました。

その時のハリーの返事が“No, tomorrow, egghead. Now!”で、私が日本語字幕にするとしたら「いや、明日行って。ウソだよ、今だよ!」です。


日本のお笑いでいう「ノリツッコミ」に似ていませんか?

実は英語にもこんな感じで一旦相手の言った事に合わせてツッコむというのが存在します。

ちなみに“egghead”は「(すごく偏った)知識豊富な人」といった意味ですが、日本語のノリツッコミに合うような表現が見つからなかったので省きました。


アメリカのクリスマスは日本の年末年始のように親戚が泊りがけで集まる事も珍しくありません。(近場に住んでいるのであれば日帰りも充分あり得る)

ですのでハリーが前日と打って変わっての静けさを不思議に感じるのも無理はないですね。



ケビンのお母さんが空港で音楽バンドに車でシカゴまで送ってくあげられると申し出を受けた時(60分過ぎ):

“You'd give me a ride?”

「送ってくれるの?」

“Sure we will. Why not? You know, you got to get home and see your kid.”

「もちろん送っていくよ。お子さんが心配だからね(直訳:帰って子供に会わないといけないからね)。」

“A ride to Chicago?”

「シカゴまで(車で)?」

“Sure. It's Christmastime.”

「もちろん、クリスマス(時期)だし。」


日本人とアメリカ人を比べると日本人の方が親切な(他の人の手助けをする)人が多い印象ですが、アメリカ人もとある時期は日本人かそれ以上に親切になります。

それがクリスマスの時期です。

今アメリカにいらっしゃる方はこれからクリスマスに向けて感じる事が出来るでしょう。


ケビンのお母さんはこの時ペンシルバニア州のスクラントンにいたのですが、ここからケビンの家があるシカゴまでは約1,000kmで音楽バンドの目的地のミルウォーキーまでは約1,300kmです。

シカゴ⇒ミルウォーキーとより豪雪地帯に向かう事になるので過酷さは「水曜どうでしょう」並みですねw



やはりケヴィンが家で一人だと気づいた時のハリーの台詞(61分過ぎ):

“I think we're getting scammed by a kindergartener.”

「どうやら俺たちはお子ちゃまに一杯食わされていたようだな。」


ここは単語の意味や文化と言うよりも“kindergartener”(幼稚園児)の発音について。

一般的に発音すると「キンダーガータナー」ですが、この時は「ダー」を「ディー」に変えて「キンディーガータナー」と言っていました。

英語の名前で最後の母音を「イー」に変えると可愛らしい印象を与える事になります。

「マイケル」⇒「マイキー、ミッキー」

「ジェニファー」⇒「ジェニー」

“kindergartener”は厳密には名前でもなければ最後の部分でもないですが、「ダー」を「ディー」と発音する事によって同じように可愛らしい印象になり(だけど映画内では小バカにした感じ)、ニュアンスは「幼稚園児」というよりも「お子ちゃま」といった感じです。

ケビンは8歳の設定なので厳密には幼稚園ではなく小2ですが、そこを幼稚園児と言っているのもよりバカにしている感が表れていますね。



サンタさんが駐禁違反を取られていたたシーン(64分辺り):

“Damn! How low can you get giving Kris Kringle a parking ticket on Christmas Eve?”

「何だよ!クリスマス・イヴにクリス・クリングル(Kris Kringle)に駐禁を切るってどんだけ見下げ果てた奴だよ?」


みなさんは「クリス・クリングル」って誰の事かわかりますか?

これはサンタクロースの別名です。(少なくともアメリカでは)

(もしこのサンタさんが本物なら)これから世界中にプレゼントを配りに行く前のサンタクロースに駐車違反を取る奴なんて酷い奴と言えるのか?

いや、サンタクロースだろうと大統領だろうと駐禁は駐禁ですけどね。(;^ω^)



教会内で座っていたケヴィンに近所のおじいちゃんが近づいたシーン(68分過ぎ):

“Merry Christmas. May I sit down?”

「メリークリスマス。(隣)座ってもいいかな?」


この時にケビンの表情が“恐怖⇒疑念”へと変わりました。

それも無理ありません、と言うのもバズ(ケビンの兄)からおじいちゃんは殺人鬼と言われていたからです。

でも上記の発言で“えっ、この人は本当に殺人鬼なの?”と疑問を持つようになりました。


私がここで伝えたいのはおじいちゃんが“Can I sit down?”でも“Is it OK if I sit here?”でもなく丁寧な“may”を使った事。

孫かそれ以上年が離れている年下のケビンに“May I sit down?”(ここに座ってもよろしいですか?)と言えるのはとても優しくて人間として出来ている証拠。

英語は日本語のような敬語はないですが、言葉遣いで人となりが何となくわかります。

このおじいちゃんの雰囲気や言葉遣いはちびまる子ちゃんに出て来る「ヒデじい」(花輪君のお世話係)や「戸川先生」(まるちゃんの担任)と似ていますね。



その教会内でのケビンとおじいちゃんの会話

“Been a good boy this year?”

「今年は良い子にしてたかい?」

“I think so.”

「うん、だと思う。」

“You swear to it?”

「本当に?」

“No.”

「いや。」

“Yeah, I had a feeling.”

「何となくそんな気がした。」


彼らがいるのは教会内でウソを付くのはタブーとされています。

ちなみに嘘をつく事だけでなく、ちょっとした汚い言葉でも使ってはいけません。(日本語で言うなら「ちくしょう」や「くそっ」など)

その後誤解が解けたおじいちゃんはケビンに息子との不仲のについて相談に乗ってもらいました。

アメリカは子供だろうと個の意思を聞かれたり尊重されたりする事が多く、大人が子供に相談する事もあります。(もちろん“ドンピシャの解決策を期待する”というよりは“違った視点を知りたい”といった感じで)

私も子供の時に大人からちょっとした事を相談された事ありますが、ケビンと違って子供らしい答えしか出てきませんでしたw



泥棒が警察に捕まってパトカーで連行される時(91分過ぎ):

背景で有名な“Have Yourself a Merry Little Christmas”という曲が流れていて、歌詞全体は“あなたに素敵なクリスマスが訪れますように”といった感じです。

パトカーが走り去る瞬間時に“From now on, your troubles will be out of sight”(これから先あなたを悩ませるものはいなくなるよ)と流れていて場面にピッタリでした。


↓これがその歌です(“字幕”をクリックすれば歌詞が出てきます)



いかがでしたでしょうか。

もしお気に召したのならホームアローン2など他の映画でもやってみます。


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